Luca Marinelli イタリア・ローマ 1984.10.22生誕
2023年公開のこのイタリア映画「帰れない山」は、私が年間通して観た映画の中で”ベスト1”と思っている極めて秀逸な作品であります。
ルカ・マリネッリの主な出演作:マーティン・エデン(2019)
帰れない山(2023)
『帰れない山』は、パオロ・コニェッティによるベストセラー小説を映画化したものである。北イタリアのモンテ・ローザ山麓を舞台に、都会育ちで繊細な少年と同い年の牛飼いの少年が、大自然の中で出会い、生涯の友情を育んでいく骨太なストーリー。人生に葛藤しながら、それぞれの道を発見していく2人の主人公を、年代ごとに6人の俳優が演じ継いでいる。
成年となった主人公のピエトロ役には、『マーティン・エデン』で第75回ヴェネツィア国際映画祭で男優賞に輝いたルカ・マリネッリ。『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(潔癖症の悪役を演じている)では、イタリアのアカデミー賞と言われるダヴィット・ディ・ドナッテロ賞の助演男優賞を受賞しており、Netflix映画『オールドガード』では、シャーリーズ・セロンらと共演するなど活躍の幅を広げているとの情報がある。イタリア語、スペイン語、英語、フランス語、ドイツ語の5ヶ国語を使いこなすマルチリンガルの俳優である。
親友のブルーノ役には、アレッサンドロ・ボルギ。彼も同じくダヴィット・ディ・ドナッテロ賞の主演男優賞を受賞した経歴があり、この二人こそ”実力派美男俳優の競演”が実現しているのである。
この二人は、『Non essere cattivo』(2015)というイタリア映画で競演しており、すでに”気心の知れた仲”ということであった。
この二人の俳優のキャスティングの背景を探れば、ルカとアレッサンドロの名前は、”この世代のイタリア俳優を代表する才能”として早い段階から挙がっていた。しかし、どちらがピエトロ役で、どちらがブルーノ役にふさわしいのかは決められないでいた、というのである。当初ルカ・マリネッリはブルーノ役、アレッサンドロ・ボルギはピエトロ役に近いと思われていた。それは、ルカが一つのことに集中するのが好きなタイプであったためだ。それに彼ら自身もお互い「もし自分の役を選べるのなら」と、最終的な配役とは逆のタイプを言ってきていたらしい。役をスイッチしてバランスを図った結果、最終的には二人の俳優も合意して、”キャスティングの妙”は落ち着いた。アレッサンドロはブルーノ役のオーディションもしてくれて、素晴らしい演技を見せてくれたのだという。
親友に敬意と羨望を抱きながら、父親との関係や人生に葛藤するピエトロと、生まれ育った山での暮らしにこだわるがゆえ苦悩するブルーノ。ピエトロの父の死をきっかけに、ふたりは広大な自然のなか、かけがえのない友情を育みながら、自らの生き方と居場所を見つけていく。〜「原作の忠実な映画化」「壮大で純粋な作品」「監督の最高傑作」と絶賛されていた本作品。
・・・もう二度と戻らない時間だと知りながら、それでも人生は続いていく切なくて懐かしい、この壮大な人生のドラマを徳とご鑑賞あれ!
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