ケビン・スペイシー 映画「アメリカン・ビューティー」

Kevin Spacey  米国ニュージャージー州サウスオレンジ 1959.7.26生誕

主な出演作:心みだれて(1986)
      ユージュアル・サスペクツ(1995)
      セブン(1995)
      評決のとき(1996)
      LAコンフィデンシャル(1997)
      アメリカンビューティー(1999)
      スーパーマン・リターンズ(2006)
      ハウス・オブ・カード 野望の階段(2017)

平凡なアメリカ中流家庭が崩壊する過程で、当時アメリカ社会の抱える闇を時にコミカルに描き出すストーリーであった。娘の同級生アンジェラに恋する中年男性をケビン・スペイシーが演じている。
 「アメリカン・ビューティー」とは薔薇の品種の一つである。色は真紅で、発祥の地はアメリカ合衆国。映画の中でこの薔薇は様々な意味を持っているのであった。例えば「豊かな家庭の象徴」としてキャロライン(アネット・べニング)が自宅の庭に赤いバラを栽培し、「官能の象徴」としてレスター(ケビン・スペイシー シカゴ郊外に住む42歳)の妄想の中でアンジェラ(ミーナ・スヴァーリ)と共に赤いバラの花弁が登場している。

 この映画のストーリーでは、浮気(人間関係上のトラブル)、恋焦がれる心情、未成年との禁止性行為、ドラッグ、虐待、反抗など、観るのが辛いテーマがいくつも繰り返し描かれています。 こうした厳しいテーマが効いているからこそ、この映画は引き締まり、美しい(ビューティー)のだと思います。
 そして、”中年の危機”(セッ◯スレスの結婚生活、雑誌ライターとしてのキャリアの燃え尽き症候群、そして娘との緊張した関係など、冴えない人生に葛藤している)に瀕したケビンは共感しやすく、ユーモアがあり、その知的な演技は最初から最後まで観客をスクリーンに釘付けにしています。
 この映画を通して、何の満足感も得られない平凡な人生を送る人々の心、小児性愛、抑圧された同性愛と男らしさ、不貞といったテーマが描かれる一方で、美しい瞬間は”ビューティー”として散りばめられており、その視点を通して登場人物たちそれぞれについて、多くのことを学ぶことができたのでした。そして、ショッキングなラストシーンを迎える中で、我々は”人生で最悪の瞬間でさえも、そこから何かを学ぶことができる”という教訓を得ることができたのです。

ケビンの出世作、大ヒットした「セブン」は確かにセンセーショナルな役柄だったけれど、余りにキレものキャラが一人歩きしてしまっているようにも思えています。
 この作品のストーリーを通して、主人公自身の”存在意義”を再発見していく中で、不幸で不安を抱えた快楽主義者から、自己認識を持つ男へと成長していくプロセスをケビン自身楽しんで演じているように見える(シャワーでの自慰行為とか筋トレシーンとか)のが、彼の出演作の中でもイチオシの由縁です。

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