ヴァンサン・ラコスト 映画「アマンダと僕」

Vincent Lacoste フランス・パリ 1993.7.3生誕

主な出演作:いかしたガキども(2009)
      カミーユ、恋はふたたび(2012)
 EDEN/エデン(2014)
アマンダと僕 Amanda(2018)
      幻滅/ Illusions perdues(2020)
      Winter boy(2020)

ヴァンサン・ラコストは14歳の時にリアド・サトゥフに見出された。サトゥフは人気バンド・デシネ作家で、近年は自伝的漫画『L’Arabe du futur  未来のアラブ人』シリーズが世界的な成功を収めている作家である。
 2009年にパリ17区の公立中学校に通う演技経験ゼロのラコストを主役に抜擢し、自らも演出経験がゼロの状態にもかかわらず、映画『Les Beaux Gosses いかしたガキども 』を監督した。 “イカしていない”少年が主役のこの青春コメディは、カンヌ映画祭監督週間で上映されるや大好評。劇場公開されると観客動員数100万人を越す大ヒットになった。

 そうした注目の若手俳優ヴァンサン・ラコストが主演している「アマンダと僕(原題 Amanda)は、第31回東京国際映画祭で東京グランプリと最優秀脚本賞をダブル受賞した秀逸な作品である。彼は主人公として、実年齢とほぼ変わらない歳の青年の心の葛藤を繊細に見事に演じきっている。


 ストーリーは、突然のの事故で姉を亡くした青年ダヴィッド(ヴァンサン・ラコスト)が身寄りのない姪アマンダ(イゾール・ミュルトリエ)の世話を引き受けることになって、消えない悲しみを抱えながらも、2人は次第に絆を芽生えさせてゆくというもの。親代わりとして接しようとするが、まだ若いダヴィッドには荷が重く、母を失い戸惑いながらのアマンダも、養父の優しさをなかなか受け入れられずにいた。こんな一瞬の出来事で人生も、人と人とのつながりも、悲劇に突き落とされ、本当にはかないものだと思えてくる。 
・・・イケメン俳優と少女との図式は、『after sun/アフターサン』のポール・メスカルにしろ、『SCRPPER』のハリス・デッキンソンにしても充分ありうるパターンと言えるが、ヴァンサン・ラコストの場合の方が、より自然体の苦悩が伝わってくる。

 フランスで、“ジェネレーション2010”(2010年代に頭角を表した世代)を代表する若手俳優であると称されるヴァンサン・ラコスト。先のセザール賞でも『Illusions perdues 幻滅』で最優秀助演男優賞を獲得するなど、デビュー時から安定した活躍ぶりを見せてきた。ただ、生き馬の目を抜く仏ショービズ界にあり、彼だけは実にノーテンキに陽気。緊張感漂うセザール賞の壇上でもヘラヘラした受賞スピーチを披露していたが、”愛されキャラ”の彼ならばこそ、全てが許されるオーラに包まれていたのであった。

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